私たちの考え方

「成熟の時代を迎えて」 環境/福祉の時代の新しい価値/質を求めて

私たちの建築のテーマは、「成長の時代」から「成熟の時代」に向かう中で環境や福祉が社会の中心的な課題となった今、それにふさわしい価値を持つ建築を創ることです。そのためのいくつかのキーワードを考えてみました。

環境

人は自然と共生することの大切さを感じるようになり、その環境を守ってゆく必要性を認識するようになりました。自然を感じ、取り入れ、活かす建築を創ること、エネルギーの消費を低減する工法・技術の活用や、化石燃料に由来するエネルギーから自然のもつエネルギーを利用する建築への転換を図ることを考えます。

コミュニティ

人は、人との関係性なくしては生存できません。人と人との関係をコミュニティという言葉で表すとすれば、これまでの半世紀のように限定されたコミュニティに人々を押し込めてきた時代を超えて、新たなタイプの様々なコミュニティを創出し、人と人との関係性を強めて行きたいと考えます。その新しい形のコミュニティを生み出すきっかけや場所を提供する、建築的な仕掛け創りを目指します。

時間軸

人生の様々なものを犠牲にした、「進歩」という単線的な時間軸に添ってきたこれまでの価値を問い直すことが必要です。多様な価値観を反映する時間軸に、様々な形で対応できる空間創りを目指します。

ストック

多くの建築は竣工したときから時間の経過に伴って、老朽化という表現のもと価値が下がって行く。そうではなく、時間の経過に伴う経年変化による深い味わいや、草木の成長に伴う美しいランドスケープなど、時間を経過しても陳腐化しないロングライフなデザインを求めていきます。

リージョナル

現代の混沌とした街にも、目を凝らせば歴史や風土に裏付けられた魅力のある街並み、建物のデザインやそれらを構成するディティールがあることがわかります。その地方・地域の気候、環境、風土、歴史を読み取り、それらにデザインの糸口を見つけ、そこで暮らす人々の生活のベースを創っていきたいと考えます。

豊かさ

便利なものをいくら揃えても、心は豊かにならずものと時間に追われる日常があります。便利さだけを求めるのではなく、精神的な豊かさへの価値観の転換が必要です。居心地のいい空間は心に豊かさをもたらすものです。

美しさ

心にしみる美しさは、そのものが持つ質の高さからにじみ出るものです。その建築が建つことが街並み空間の質を高め、そのことが景観の美しさにつながるような建築を目指します。内部空間は、その空間に身を置いた時、静謐さ、落ち着き、居心地のよさを感じられることが大切です。それぞれの空間には用途、目的、機能が求められます。それらに則した空間でありながら且つ、静謐さ、落ち着き、居心地のよさが感じられたとき、見た目ではなく質としての美しさが創られると考えます。

一級建築士事務所 有限会社アトリエニライ
 〒604-8187 京都市中京区東洞院通姉小路上る笹屋町444番地 初音館601 TEL 075-213-5134